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下町タレット物語:第一回 ときここちが出来るまで ①

 

私たちトネ製作所とは?

卵を絶妙に溶きほぐす、混ぜ溶き専用器具「ときここち」を製造・販売する私たちトネ製作所は、創業58年、東京都荒川区町屋にある精密板金加工の会社です。

精密板金加工と言われてもピンと来ない方が多いでしょう。
一般の方が日常生活で「精密板金加工」という名前に触れて生活することはありません。駅のホームドアの中に入っている精密部品だったり、北陸新幹線の車両の扉を吊る金具など、所謂人目に触れないところや、「これが商品だ」と意識していない製品の一部として、私たちの商品は使われています。売上としてはBtoBが100%ということになります。

冒頭にある画像をご覧ください。
指の上に乗せた極小の自転車。これも私たちの工場で生み出したものです。これだけ小さなものを金属の板から精密に加工できる。そこに誇りを持ってこれまで58年間会社を続けてきました。

年間の売上が10億円に届いた時代もあったのですが、世の中の町工場と同じく、少しずつ海外の工場などに仕事が流れ、今では全盛期の1/3ほどの売上です。何か起死回生の商品を生み出したい、経営者としてそう考えた時に、単純に営業をかけて新しい仕事を取ったりするのではなく、今まで考えたこともなかった新しいことにチャレンジしてみたいと考えるようになりました。

「BtoCの商品を作ってみたい」

BtoC商品に賭ける思い

うちの商品は一般の方の目に触れないようなところにあるんですよ。

これまで当たり前のように、社業を聞かれるとそう答えてきました。
でも本当は、孫におじいちゃんはこれを作っているんだぞと見せられるような、街で普通に売られているような、どこの家庭にでも置いてあるような、そんな商品も作ってみたかった。きっと従業員も皆、同じ気持ちではないだろうか。

自分たちの力だけではどうしようもない、色々な波が町工場に押し寄せる昨今、たとえどのような状況になっても、自分たちの「心の支え」になってくれる、胸を張れる商品。会社全体の売上に与える影響が仮に小さくても、作ることで自分たちの誇りになるような商品を作ってみたい。

そんな思いで「ときここち」の開発をはじめました。

じゃあなぜ数ある商品の中から「卵かけご飯用の卵を混ぜる器具」という非常にニッチなジャンルを選択したのかについては、次回お話させてください。